岡崎の変わるまちなか「QURUWA」と何する?

あの人のトライ:籠田公園地域みらい勉強会のみなさん

  • イベントを開催する

土日はもちろん、平日にもたくさんの子どもやご家族で賑わう籠田公園。2018年7月に団体登録をした「籠田公園地域みらい勉強会」は、そんな籠田公園の清掃や見守り活動を通して、公園の快適な使い方の提案をおこない、学区や世代を超えた地域のつながりを構築することを目的としている市民団体です。

子育て中の女性を中心に多様なメンバーが参加しており、なおかつ仕事をしながら活動する「できることをできる人がやる」フラットな組織となっています。

私たちはただ籠田公園が大好きなお節介な人たちの集まりなんです。好きだからこそ、公園とこの地域をどうやって守っていこうかを考えています。

神谷起世子さん(ベルン洋菓子店)

「ボール遊び禁止」や「野球禁止」などのルールをつくりたくないし、公園を張り紙ばかりにしたくない、というのは、岡崎市もリニューアルした籠田公園の設計をした「オンサイト計画設計事務所」も同じ意見だったそうです。みんなが気持ちよく使えるように、利用する人それぞれのマナーが良ければ、ルールや禁止事項はなくなるのでは、と考えていると教えてくれました。だから「勝手に使い方を提案しよう」と活動をしているそうです。

活動としては、月に1回情報や意見交換の場である勉強会と、第2第4土曜に籠田公園のお掃除会、年に数回イベントをおこなっています。

籠田公園の改修前から、メンバーの天野めぐみさん、白井宏幸さん、千賀亮治さんが清掃活動をしていた愛護会「かごめ組」は、籠田公園の指定管理者に「ホーメックス株式会社」が決まった2022年4月に解散しましたが、籠田公園地域みらい勉強会がその精神と名前の入ったのぼりを引き継いで、お掃除に来るボランティアの人と一緒に清掃活動をしています。

メンバーはずっと岡崎に住んでいる方も多く、公園や周辺の美化は、子どもの頃から遊び場として使わせてもらったことへの恩返しの気持ちもあるそうです。このまちと場所が好きだから見守っていきたいと口々に語ってくれました。

籠田公園のお掃除会
掃き掃除以外に、机や椅子、水道周りの拭き掃除などもおこなっている

楽しく使って、楽しく片付けるみんなの公園に

2019年7月26日に籠田公園は改修工事を終えて12ヶ月ぶりに利用ができるようになりました。籠田公園地域みらい勉強会では、その日を「生まれた日」ととらえて、毎年籠田公園のお誕生会をしているそうです。

オープニングの時はみんなで乾杯しようと集まりました。使える日を待ち焦がれていた子どもたちも水筒を持ってきたし、オンサイト計画設計事務所で籠田公園を担当された須貝さんや落合さんたちも来てくれました。
1歳と2歳の誕生日には、水鉄砲で水を掛け合いながらデッキをブラシで磨くお掃除会をしようと、「ピカピカdeナイト」というイベントを企画しました。去年「シバタ食堂」の柴田さんは水鉄砲の的役として来てくれたけれど、今年はしっかり掃除してくれちゃった。こんな風にみんなで楽しく遊びながら公園が綺麗になったらいいなと考えているんです。

堤智子さん(スギウラメガネ
「ピカピカdeナイト」の様子

公園の使い方をみんなで考えようという思いから、夏休みには子どもたち向けにあおぞら教室も開いています。今年は楽しく遊んで楽しく片付けようという親目線の提案も込めて、用意した水風船1665個を投げあって遊んで、その後のゴミである、かけらを何個拾えたかをみんなで競ったそうです。

去年、遊び終わった後の水風船のかけらを口に入れてしまった子どもがいて、そのことに心を痛めていたことから企画しました。水風船で遊んだら楽しいのはわかるし、禁止にするよりも遊んだ後は自分で片付けよう、そういう公園だよということを伝えたいんです。

若月昌子さん(介護士)
あおぞら教室にはたくさんの子どもたちが参加
全力で遊んだ後も楽しく、掃除を通してみんなで公園を使うことを学んでいく

まちのことが、みんなの「わがこと」になる

籠田公園の改修工事が決まった2017年の計画段階では、屋根付きのスペースをつくるとともに、すべり台以外の遊具をなくすことが検討されていたそうです。それは困ると反応したのが、子育て真っ最中だったメンバーの皆さんでした。手製のアンケートをつくって、まちの人の意見を聞くことにし、集まったのは191件。

そのアンケートをきっかけに、設計側の考えや想いを聞く話し合いの機会を岡崎市役所の方が設けてくれて、遊具の変更のこと、芝生を残して欲しいこと、私たちの話や想いも受け取って頂けました。そんなやりとりがあったから、自分の家みたいに思い入れのある誇りに思う公園になったんだなと思います。計画段階では、屋根もいらないし椅子もいらないと思っていたけれど、できあがってみたら、本当に過ごしやすいし、デザインの力を感じています。

神谷起世子さん(ベルン洋菓子店
籠田公園での勉強会は、出入り自由で和やかな雰囲気

さらに、岡崎市役所はアンケート結果の意見に耳を傾け、市民参加プロセスの設計や事業の実行を後押ししている「株式会社カントリーラボ」の宮崎道名さんを紹介してくれたそうです。「住んでいる人にとってどんな公園であったらいいのか?」「どんなことに困っているのか?」宮崎さんは勉強会をつくって、詳細の実態アンケートを取ったらどうかとアドバイスをくれました。

アンケートの結果、この地域は高齢化が進んでいることもわかりました。まだ生かし切れていないけれど、こうやって課題を見える化して対応していこうと宮崎さんとも話しているそうです。

こういったアンケートを通して、住民みんなが「わがこと」として、まちに関心を持つきっかけが生まれ、それが展開して7町・広域連合も生まれたそうです。特定の人の意見や方針を聞くだけではなく、「私はこう思う、これなら参加できる」と少しずつまちに関わり始める人が増えていきました。

持ち寄った話に、それぞれが何かできないかと話が膨らむ

私もまちに関わりたいし、関わらないといけない年代だと思っていました。でも、女性は入りづらいと思い、町内会というまとまり以外で集まれることに興味を持ったんです。

杉浦淳子さん(TAC-MATEセンガ

私は遊具のアンケートを通して、何か手伝えないかなと思ったひとりです。町内会にも子どもが少なかったし、子育てをする上で横のつながりは大切だと思っていました。まちに関わるのは難しいと思っていたけれど、こうやって関われてよかったと思います。

竹内祥子さん(ペンズアレイタケウチ

公園と緑道と橋と、ゆるくつながる地域

「地域」みらい勉強会なので、籠田公園の中だけ綺麗であればいいと思っているわけではない、ということも話してくれました。籠田公園と桜城橋をつなぐ、中央緑道の清掃状況や利用状況なども気になっているそうです。

緑道には愛護団体もないし、いまはホーメックスさんの管理範囲でもないから、余力がある日には勝手に机や椅子を拭きに行っているんです。でも活動範囲を広げすぎても、自分たちの目が行き届かなくなってしまうから悩んでいます。

神谷起世子さん(ベルン洋菓子店)

同じ市民団体の「ONE RIVER」をリスペクトしています。彼らがおこなっている桜城橋の雑巾掛けにも通っているメンバー発案で、籠田公園のデッキで雑巾掛けリレーをしたこともあるんです。市役所の都市政策課や公園緑地課の方株式会社カントリーラボの宮崎さんも参加してくれて盛り上がりました。いつか、橋と緑道と籠田公園すべての場所で、同じ日時に掃除や雑巾掛けをする日が来たらいいなと思っています。

堤智子さん(スギウラメガネ)

ぜひあなたも、籠田公園に訪れた際には、その背景にこんな方々が頑張っているんだと思っていただけると嬉しいです。

籠田公園地域みらい勉強会
籠田公園が大好きな人の集まりです。2017年から活動を始め、2020年「籠田公園地域みらい勉強会」として市民活動団体に登録しました。気持ちの良い公園であり続けてほしい思いで、SNS・夏休みを利用した公園マナーの啓発活動や、毎月第2・第4土曜朝8時に「かごめ組」より引き継いだ清掃活動を行っています。このような活動を通して、世代や学区を越えたゆる~い繋がりを創ることを目指しています。
@kagoda.chiiki.mirai
https://www.instagram.com/kagoda.chiiki.mirai/

公開日:2022.10.04