あの人のトライ:wagamama houseのみなさん

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平日に八幡通りを通ると見かける「お惣菜」の看板。店内に入ると、ゆったりと机と椅子が並び、お惣菜だけでなく、お菓子や生活雑貨や食材が販売され、談笑する多世代の女性の姿があちこちで見られます。

お母さんたちが挑戦する場所として生まれた「wagamama house(ワガママハウス、以下:ワガママ)」は、岡崎で行われた「リノベーションスクール」の第一号事業化案件。(まちなかにある空き家などを対象とした、エリア再生のためのビジネスプランを創り出す短期集中の実践型スクールのこと。)

2016年に元家具屋を改装し、お惣菜屋さんとお菓子屋さんが併設する場所としてスタートしました。

わかりやすい「お惣菜」の看板を出したことで、口コミで知った50-60代の方の来店も増えました

「好きで得意なことを活かした、ママが利用できる会員制レンタルスペース」

当時「まちづくり」という言葉も知らなかったと言う、ワガママを立ちあげた中根利枝さん。青春時代を過ごし遊びにきていた康生エリアが、元気がなくなっていることは気になっていたそうで、「欲しい暮らしは自分でつくる」というリノベーションスクールの言葉に感銘を受けて、参加を決めたと語ります。

当初の提案は「好きで得意なことを活かした、ママが利用できる会員制レンタルスペース」というもの。教育者である建物オーナーはその提案に賛同し、貸してくれることになりました。

しかし最初は会員となるメンバーが集まらず、自分もメンバーの1人として料理教室をやろうとしていた利枝さんが、自分でお店を出す形でスタートすることを決断し、「三河家守舎」の協力のもと、場の運営をしています。

メインであるお惣菜のテイクアウトだけでなく、店内飲食やワークショップなどもできる広い店内
ワガママでいただけるお惣菜

今までワガママは、子ども優先の日々を過ごすお母さんたちが、自分の時間をつくるための「お惣菜」や、ほっと一息つくための「お菓子」があるという想いと共に、会員向けの講座や小商いとしてのワークショップや物販スペース貸しをしてきました。その軸となる理念について、利枝さんはこのように話してくれました。

当初から「選べる食・選べる暮らしや住まい・選べる教育・選べる働き方」この4つを理念としているので、どうしたらママたちが自分らしさを活かして、社会に関わっていけるかをずっと考えています。旬のものを食べて身体を整えると心も整うし、ゆとりができたら自分との対話ができて本当にしたいことがわかる。「食」は、それに気づくきっかけになれるし、その先に「子どもたちのしあわせな未来」もあると想っています。

中根利枝さん

その先の未来に向けて、さらに進化しようとしている今、ワガママの運営に携わっているみなさんにお話をうかがいました。

お店の一角で、利枝さんと会員のみなさんで意見交換をすることも
販売エリアでは雑貨や調味料などの他に、併設する「Rilo」のお菓子も並ぶ

理念の1つ「教育」を始めるまで

現在、月曜日と木曜日には造形教室の「岡崎ぎゃざ」がワガママの間借りをしており、子どもたちが集って学びを深める場所にもなっています。

オープン当初から関わっている中根絵美さんは「教育」への想いをこのように語ってくれました。

私が保育士だった頃、枠にはめたり、教育が選べなかったり、排除や区別をするような教育に疑問を感じていたんです。カナダの現地教育や保育園を見て、インターナショナルスクールで働く中で、人種を含めた多様性を認め合って暮らしていく大切さがみんなに伝わっていることを感じて、これが人としてあるべき姿だと思いました。だから、ワガママでお母さんたちに対しても、共に生きる気づきの場になることしていきたいんです。

中根絵美さん

「食」で伝えるフェーズから、さらに一歩進んだ「教育」のフェーズに移り始めた2022年5月株式会社スノーピークビジネスソリューションズの企画で実現した、利枝さんが沖縄県奄美大島で「イエナプラン」を学び始めている方との出会いは、「今までずっと探していた教育の伝え方はこれだ」と、人生が変わるくらいの衝撃があったそうです。

イエナプランは、ドイツで始まり、オランダで広がった、一人ひとりを尊重しながら自律と共生を学ぶ教育のこと。

今までの教育や当たり前だと思っていることへの疑問が持てるように、ワガママのみんなで、お母さんたちのためのイエナプランを学びたい。そして、お母さんたちもそれを学ぶ仕組みをつくり、家庭で小さくても実践してもらいたい、と利枝さんは思ったそうです。

社会参画していく女性が増えることと、教育の仕組みが変わっていくこと。2つがセットでないと世の中は変わらないと思っています。ママが輝ければ、ママが社会を変えていける。そして、子どものときから自分の得意や苦手を知り、いろいろな他者とつながることで、自分の価値や挑戦課題も見えてきます。共に生きることは、人生をより豊かにしてくれることだと思うんです。

中根利枝さん
お店の目立つところにある「wagamama house」が掲げる理念を伝えるための黒板

それぞれの得意を活かし合うということ

得意なことを得意な人に。今のワガママはそんな役割分担をしています。

利枝さんは学びとプロデュースをする側になり、いつも明るい絵美さんがお店の切り盛りを支えています。そしてもとはお客さんとしてお店に来ていた2人も、得意なことを活かして同じ想いでワガママに関わっています。

想像力豊かに全体の運営を支えているのは、保険代理店に勤めていた早川美樹さん。

当時は子育てをしながらフルタイムで仕事をしていて、自分のことは2の次3の次になっていました。ずっと孤独で一人でお金を稼がないといけないと思って働いてきた私が、今はワガママで人と関わりながら自分のことを知り、誰かの役にたつという経験ができています。

早川美樹さん
左)早川美樹さん、右)森育夢さん

美味しいごはんの担当は森育夢さん。以前は、名古屋のマクロビオティック(日本の伝統食をベースにその季節に収穫されたものを提供する料理)のお店で働いていたそうです。

2年前にここで仕事を始めてから「働く」や「パートで来る」ではなく、ワガママらしく自分がやりたいことをやれています。ワガママでは、安心安全なものを使って自然が身体に染みこんで行くような料理を提供しています。私たちは母親でもあるからストイックなマクロビオティックではなく、時にはお肉を使ったり、柔軟な考え方を取り入れていきたいと思っているんです。

森育夢さん

社会と関わっていくこと、まちと関わっていくこと

利枝さんは「ワガママは、おかげさまでやらせていただいてている場所だから、これからも「まちの和める場所」でいいの」と語りながら、まちや社会とのつながりや今後について話を続けます。

お店を始めるのはまちに関わる小さなきっかけで、そこからの出会いが人を育んでいくのだと知りました。まちづくりの講師として全国各地に行く中で、自分の視野も広がったし、ママでも働くことで、自分たちの暮らしにも子どもたちにもいい影響を与えているんだなと。メンバーや出店者さんにも、社会に関わって世の中を良くしていくんだという意識を持って、母の愛的な部分で動けたらいいなと伝えています。
共に生きる共同体が学校だと思うから、岡崎と奄美大島を行き来してイエナプランを学んでいるんです。将来、岡崎でもそんな場所を作れたらとも思っています。

中根利枝さん

いち主婦から社会に関わるようになって、自分自身がよくわかるようになったワガママのみなさんは、自分は母であり妻であり、仕事をする人であり私であるということを知っています。

岡崎のまちが時間をかけて盛り上がり、これから成熟していくように、「wagamama house」もまた「ママたちが、我がままに生きるために」模索と変化をしていくのでしょう。

左から)「Rilo」 本松里恵さん
「wagamama house」早川美樹さん、中根絵美さん、中根利枝さん、森育夢さん

wagamama house
Mission「時代の変化を柔軟に楽しむひとを増やす」
Vission「欲しい暮らしを叶えるサポート」あるがままの姿で強みを活かす
「wagamama!」欲しい暮らしを自分たちでかなえる場所を共に創っていきます。
https://www.instagram.com/wagamama_house_/
https://www.instagram.com/mamahata.okazaki/
https://www.instagram.com/rilo.cookies/?hl=ja

文章:山崎翔子(Okazaki Micro Hotel ANGLE)

公開日:2022.11.04

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