あの人のトライ:次世代の会 佐谷繁さん

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「気になるあのまちでお店をやってみたい。」「自分が住んでいるまちにもう少し関わってみたい。」「あの公園でイベントを開催したい。」「まちに対して何かやりたい。」と思った時、寄り添ったり手助けをしたりしてくれる場所があったら、どんなに心強いでしょう。その希望は同時に「住む人や商う人とどうやって繋がっていけばいいか。」という悩みにもなると思います。そのヒントを見つけられる会が、QURUWAにはあります。それが「7町・広域連合会」の実働を担う「次世代の会」です。

次世代の会は、30-40代の地域住民や新旧商業者をはじめ、市役所職員などの人たちが毎回30人以上参加しています。参加者で自発的にまちの課題を考え出し、それに対して分科会をつくり、プロジェクトを起こして、まちに必要な取り組みを提案・企画・協議する会議体として2021年8月にスタートしました。

本会にあたる7町・広域連合会が、70-80歳の会の代表者「総代さん」を中心とした上の世代による組織なので、住んでいる人に伝え広める役割や承認をもらう役割を担い、対して「次世代の会」は実施部隊として活動しています。

そんな「次世代の会」代表を務めるのは佐谷繁さん。ご実家は、康生通東にある「宝金堂」 です。現在は時計と宝石、昔はカメラも扱っていて、大昔は武士の刀の飾り職人をしていたそう。会社を大きくした曽祖父の生まれた1904年を創業年として、佐谷さんが社長に変わると5代目になります。

佐谷繁さん

大学ではまちづくりを学び、学生組織としても岡崎のまちに関わったことがあるそうです。 卒業してから福岡県で3年間修行し、24歳の時に岡崎に戻って家業に入られました。そんな佐谷さんがまちに対しても、家業に対してもフラットに自然体で関われているのはなぜなのでしょうか。

自分が住んでいて好きだからですかね。親父が昔からまちづくりをしている姿も見ているし、家業を継ぐのも反発がなかったくらい、まちに対して何かするのは当たり前という意識があります。
自分の中では普通だから、「やらされている」感も一切ないんですよね。「まちづくり」と気負ってどうする、とも思うし、だれかの主導やエゴがでてしまうと頭打ちになる。みんなアプローチの仕方が違うだけで「ここが賑わって欲しい」という共通の想いがある。その取りまとめが今までいなかったから、次世代の会がそれになればいいなと思っています。

横で繋がりながら、課題を解決していく

次世代の会が現在進めているプロジェクトには「籠田公園の利用の勉強会やイベントサポート」「空き家対策マッチング」「交番横のL字(康生スタンド)活用」「菅生神社の宿坊体験」「福祉関係で困っている高齢者サポート(おかすけねっと)」などがあります。

例えば、「籠田公園の利用の勉強会やイベントサポート」は、自治会として籠田公園でイベントをしてきたノウハウがあるので、それを自分たちだけで蓄積せず、使う人にオープンにしようという思いから始まったそうです。公園をより良く使ってもらいたい、マナーが向上して欲しいという思いもあり、サポートしようという話になりました。

また「空き家対策マッチング」では、連携しているまちづくり組織「まちづくり岡崎」の康生地区未利用不動産オーナー支援業務と併走して、オーナーと借りたい人をつなぐマッチングを進めています。昨年度は3店舗程度の貸し店舗化が行われ、今年度の事業でさらに10数店舗ほど増やしていこうと計画しているとのこと。まち医者的な建築チーム「Studio36」が調査担当として関わり、オーナーにヒアリングしながら1年間かけて設計図まで落とし込んでいこうという計画だそうです。

大家さんにとっても借主と直接やりとりするのは不安があると思いますが、その間に次世代の会や一緒に動いている市役所の姿が見えると安心できることでしょう。空き家が新店に変わるという成果が見えると、市役所もよりサポートがしやすいという側面もあるそうです。

佐谷さんは笑顔を見せながらこう話してくれました。

今までは「市役所」「まちづくり岡崎」「団体」とそれぞれが単体で動いていたのが、一緒に動いて回り出したのはここ1-2年のことです。バラバラだった人たち同士が連携できるようになって、『次世代の会』をつくって本当によかったと思いました。

次世代の会 定例会

未来のために、まずは自分たちで動いてみる

佐谷さんがまちづくりに深くに入るきっかけは、2021年に「7町・広域連合会」の筒井さんに声をかけられたことからでした。遡れば佐谷さんが18歳くらいの頃からお祭りなど町内会同士の行事で筒井さんと顔を合わせていたこともあり、次世代の会の代表にと佐谷さんに白羽の矢が立ちました。「自分たちの上は50代だけどそこがいない。それなら自分たちで請け負うしかないよね」と筒井さんと話をしたそうです。 佐谷さんはこう語ります。

自分たちの世代なら自分がやるしかないという思いはありました。人によっては自分の仕事で手いっぱいだったり、親が元気でまちのことをやっているから自分は感知しなくてもいいという気持ちがあったりするかもしれません。現状は商売もできているから「自分たちでやろう」とならない。でも目先のことではなく、何年か後のことを見据えていま動かないといけないと、私は思っています。

一方で、佐谷さんのよれば、次世代の会にはまだまだ課題もあるそう。

本来はもっと、このあたりに住み商売をする「地の人」が入って欲しいけれど、それはこれからだと思っています。まずは違う地域から通って商売をする「外の人」と動いていけば、地の人にも火がついて一緒にやろうとなるかなと。

籠田公園がリニューアルされ、若い人をはじめとした人通りも増え、暮らしは変わってきました。次は商売の番。 暮らしも商売も大切にして、それぞれが繋がっていければと考えているそうです。

もっと人をここに呼びたいし、もっと人が歩くまちになってほしい。 企業も含めて、何かやりたい人が増えると本当に面白いまちになると思っています。 そのためには、いま形成されているコミュニテイを開いて、「何か面白いことができたらいいね」と気軽に話ができるようにしたい。 地の人との繋がりってなかなか持ちにくいので、「次世代の会」が一つの窓口になればと思います。 とはいえ、新しく入ってくる人にマナーやルールを伝えていくのも同時にやる必要があると感じています。

佐谷繁
1983年8月1日生まれ。家業を引き継ぐため、3年間を福岡県で丁稚奉公。戻ってきてから家業に入り現在に至る。昔から地域自治やまちづくりに興味があり、籠田公園のリニューアルに伴う盆踊りの復活や、中止となった夏祭りを自治体主催で仕掛けるなど、マネジメントをすることで関わりを大きくし、2021年8月に地域内外から「まちをこうしていくんだ、こうしていきたい」という思いを持った人たちが参加し易いプラットフォーム「次世代の会」を設立。

文章:山崎翔子(Okazaki Micro Hotel ANGLE)

公開日:2022.04.30

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