2022年9月から2023年2月まで、計6回にわたって実施した「QURUWA事業リノベーションスクール」(以下「事業リノスク」)。このレポートでは、前後半に分けて、最後の日に実施された最終プレゼンと座談会についてお伝えしていきます。
最終プレゼンテーションについては、前半のレポートをどうぞ。
座談会
事業リノスク最終発表後、事業リノスク参加者、ゲスト、事務局で座談会を実施しました。テーマは「ウォーカブルなまち」×「近未来な暮らし方 / 働き方 / 遊び方」。
「居心地がよく歩きたくなるまちなか=ウォーカブルなまち」の実現のために、参加者のみなさんが実践している・実践したいコンテンツについて意見交流をしました。
まず口火を切ったOkazaki Micro Hotel ANGLEの飯田さんは、ホテル前の公道1mを借りて、植栽やイベント時の櫓(やぐら)設置などに空間を利用している実例について共有しました。公道を利用することで、ホテルや1階カフェの雰囲気が外からみた人に伝わりやすく、お店に入りやすくなるのではないかと思い始めたことが、結果的にウォーカブルなまちの実現につながっているのではないかと感じているそうです。宿の魅力の一部ともなり、街の風景ともなるこの取り組みを、継続しておこなっていきたいと語りました。
スノーピークビジネスソリューションズの米村さんは、ウォーカブルには、物理的な「歩きやすい」と、心理的な「歩きたくなる」の2つの側面があり、私たちが担っていくのは、心理的な面であると話しました。
ポートランド(アメリカ合衆国オレゴン州)には、フードカートやコミュニティーガーデンなど、街を歩きたくなる仕掛けがたくさんあるそうで、スノーピークビジネスソリューションズも、オフィス横にコミュニティガーデンを設置し、まちなかの都市菜園を楽しんだり、まちを歩きながら収穫物を食べたりすることができるよう取り組んでいます。一方で、行く先々で働いている方々の生業を体験できるようなコンテンツがQURUWAに点在したら、まちに来る人がまちの人と直接触れ合え、もっと面白くなるのではないかと提案をしました。
また、ドゥーラステーションめぐるの松本さんは、ウォーカブルなまちの実現は、車がなくても子育てができるまちの実現にもつながるのではないかと感じているそうです。まちのコンテンツが多くなればなるほど、子育てのお手伝いをしてくれる人の増加や、出かける目的をまちの中で全部果たすことができる便利さにつながるため、車がなくても子育てができるまちの実現を信じて、岡崎のまちづくりに関わっていきたいと話しました。
名鉄都市開発の矢野さんは、誰かと一緒であれば、時間を問わずお店に行ったりまちを歩いたりすることができるが、1人だと女性にとってはとてもハードルが高い現状について共有しました。「ここに行ったら知り合いがいる」、「街の人と関わりを持って飲むことができる」ような場所が用意されていると、まちに関わりを持っていきたいと思える人が増えるのではないかと感じ、そういった環境づくりを事業者と進めていけたらと岡崎の将来像を語りました。
参加者の声・今後の可能性
普段なら出会うことのない企業が、業種の垣根を越えてつながる・協業することができるところが、事業リノスクの特徴であり利点だと言えるでしょう。
他参加者の熱量や思いに触れ、事業リノスク期間中に自社事業のリノベーションを遂行するだけでなく、法人設立を決断した事業者の方もいらっしゃったほど、多くのイノベーションが生まれました。
参加者の多くから、「業種が違えども、事業や地域の課題に参加者同士共感することが多く、士気が高まり、世代や事業年数を越えて刺激し合うことができた」と、声を寄せていただきました。また、心理面や思考の変化として、「一事業者としてお店を良くしていくだけでなく、まちをも良くしていくために活動しようという前向きなメンタリティを持つことができ、次への活動意欲にも繋がった」と、実感されている声も多く挙がりました。
QURUWA地区は商業地域として年々人気が高まっているため、事業を始める方やコンテンツで溢れ、「どのような人が」、「どのような思いで」、「どのようなことに取り組んでいるのか」が可視化されづらい現状があります。そんななか、事業者同士が密に交流することができる事業リノスクを通すことによって、まち(QURUWA)と事業者がお互いに理解し合いながら、まち全体の発展を実現することができるでしょう。
多くの好評をいただいた今年度の事業リノスクを受け、来年度も開講する予定です。QURUWA地区や岡崎市で事業を展開している・していきたい本気の企業のみなさんのご参加をお待ちしています。
公開日:2023.03.28